犬や猫は、体調が悪くてもそれを隠そうとする動物です。野生では弱っている様子を見せると外敵に狙われやすくなるため、飼い主が「いつもと同じに見える」と感じるときでも、すでにつらさを我慢していることがあります。動物病院でよく聞かれる後悔の言葉は「もっと早く連れて来ればよかった」です。このページでは、様子を見ずに受診してほしいサインと、自宅で確認できるポイントをまとめました。
1. その日のうちに受診してほしい5つのサイン
次のどれかに当てはまるときは、病気の種類にかかわらず、その日のうちに動物病院へ相談してください。
- 食欲がない・食べない状態が2日以上続く──特に猫は、食べない状態が続くと肝臓に脂肪がたまる肝リピドーシス(脂肪肝)を起こし、命に関わることがあります。子犬・子猫は1日食べないだけでも低血糖の危険があります。
- 嘔吐や下痢が1日3回以上──脱水や電解質の乱れで、急に状態が悪くなることがあります。
- 呼吸が速い・荒い、口を開けて呼吸している──心臓や肺の重い異常のサインのことがあります。猫の口呼吸は、運動直後を除いて特に危険なサインです。
- 歯茎や舌の色が白い・青紫・灰色──貧血や、体に酸素が足りていない状態(チアノーゼ)のサインです。
- おしっこが1日以上出ていない──腎臓の病気や、尿道が詰まっている可能性があります。
2. 時間を問わず、すぐに病院へ連絡してほしい状態
次の状態は、夜間や休日でも待たずに、かかりつけの動物病院か夜間救急の動物病院へ電話で連絡してください。
- けいれんが5分以上続く、または何度もくり返す
- 呼びかけに反応しない、立ち上がれない
- 苦しそうな呼吸が続く、舌や歯茎が青紫色
- オス猫がトイレに何度も行くのに、おしっこが出ていない
- 犬のお腹が急に膨らみ、吐こうとしても何も出ない
- 人の薬・タマネギ・チョコレート・ユリ(猫)・保冷剤などの中毒物を口にした
- 交通事故や高い所からの落下、出血が止まらない
3. 自宅でできる緊急チェックリスト
迷ったときは、次の7項目を確認してください。「緊急受診」の列に1つでも当てはまれば、すぐに受診してください。「要注意」が続くときも、早めの受診をおすすめします。
| チェック項目 | 正常 | 要注意・受診を検討 | 緊急受診 |
|---|---|---|---|
| 食欲 | 普段どおり食べる | 食べる量が半分以下 | 2日以上食べない |
| 水を飲む量 | いつもと同じ | 明らかに増えた・減った | まったく飲まない |
| 排泄 | いつもの回数・量・色 | 軟便・少量・回数が多い | 血便・血尿・48時間出ていない |
| 元気 | 普段どおり動く | 少し元気がない | 立てない・反応がない |
| 呼吸 | 静かで規則的 | 安静時に少し速い(1分間に30回以上) | 口を開けた呼吸・荒い呼吸 |
| 歯茎の色 | 鮮やかなピンク | 淡いピンク・白っぽい | 白・青紫・灰色 |
| 体温 | 38.0〜39.2℃ | 39.3〜40.0℃ | 40℃以上、または37℃未満 |
確認のしかた
- 呼吸の数:寝ているときや落ち着いているときに、胸やお腹が上下する回数を30秒数えて2倍にします。
- 歯茎の色:明るい場所で唇をめくって見ます。指で押して白くなった部分が2秒以内にピンクに戻るかも目安になります。
- 体温:ペット用の体温計を肛門に入れて測ります。嫌がって暴れるときは無理をせず、受診時に測ってもらいましょう。
4. 受診するときに伝えるとよいこと
次のことをメモしておくと、診察がスムーズになります。
- いつから、どんな症状が、1日に何回あったか
- 最後に食べた時間と量、水を飲む量の変化
- 吐いたものや便・尿の様子(写真を撮っておくと伝わりやすい)
- 症状が出ているときの動画(けいれん・咳・歩き方などは特に役立ちます)
- 飲んでいる薬やサプリメント、口にした可能性のあるもの
5. 病気を防ぐための予防の基本
- 年1〜2回の健康診断──症状がなくても、血液検査や尿検査で隠れた病気を早く見つけられます。7歳以上のシニア期は半年に1回が目安です。
- ワクチンの接種──犬は混合ワクチンと狂犬病ワクチン、猫は混合ワクチンが基本です。接種の間隔は、抗体価検査の結果をもとに獣医師と相談して決める方法もあります。
- ノミ・マダニ・フィラリアの予防──月1回の投薬などで、多くの寄生虫の感染を防げます。冬でも室内のノミは生き続けるため、予防の期間は獣医師に相談してください。
- 口のケア──歯周病は口の中だけでなく、腎臓・心臓・肝臓の病気にも関わるとされています。歯みがきは毎日できるのが理想です。
- 体重の管理──肥満は糖尿病・関節炎・心臓病などのリスクを高めます。定期的に体重を測り、食事の量を見直しましょう。
- ストレスの少ない環境──ストレスは免疫の働きを下げ、病気のきっかけになります。安心して隠れられる場所、決まった生活リズム、十分なふれあいが大切です。
6. かかりつけの動物病院を持つ
普段から通うかかりつけの動物病院があると、次のような点で安心です。
- 過去の病気・薬のアレルギー・体重の変化などの記録が残る
- 「いつもと違う」変化に、獣医師が気づきやすくなる
- 専門的な検査や治療が必要なときに、紹介先を相談できる
- 電話で相談できる関係があると、受診すべきかどうかを判断しやすくなる
あわせて、近くに夜間・休日に対応している動物病院があるかを、今のうちに調べておきましょう。いざというときに慌てて探すより、早く治療を始められます。
※このページの内容は一般的な目安です。症状の程度や持病、年齢によって判断は変わります。少しでも心配なときは、目安に当てはまらなくても動物病院に相談してください。